スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告
あまい雪
カーリングにドキドキしっぱなし。でも大逆転の試合は寝ていて見逃したウッカリ人間です。
そしてアイスダンスのオリジナルダンスが気になりラテ欄見て、生中継が無いのが哀しかったりします。
カーリングやってるもの、アイスダンス中継しないよね。規定は生中継だったのに。(T_T)
オリジナルの課題曲はなんだろう?(NHKのサイトで調べたら「フォーク/カントリーダンス」。微妙だな)

さてさて、新作UPにはほど遠いドン亀な私。
いらして頂いてお返事ばかり、というのも心苦しいので、企画拍手をUPしますね。
読んだ事あるってお方は読み飛ばしてください。

シーズンものの宿命で、冬の間に載せないと載せるのが2010年初冬になってしまうんですよ。
指折り数えて……12月掲載だから大丈夫。

蓮がキョコを攫う話と思った方、ごめんね。

ベンチコートにinは体勢的に無理がある、と思われた方。
書いた後、私も思ったよ。でもそこはソレ、上手い事、脳を騙して読んでください。

ではでは、続きを読むをポチって下さい!


 カットの声は拡声器を使っていても風に流される。
 息抜き程度の休憩が入ると叫ぶスタッフの声を背に、風で乱れる髪を押さえながら彼女は休憩場所に戻ってきた。

「お疲れさまです、敦賀さん」
「寒そうだね」
「すっごく寒いです。風も強いですよ。風邪引かないで下さいね」
 そう言う彼女に手にしていたペットボトルを渡した。
「ありがとうございます。はぁ、あったか~い」
 ペットボトルを頬に当てる彼女の姿は子猫がすり寄っているかのようだ。
 彼女の背後に回り込んで、そっと腕を引く。
「つるがさん!?」
 声がひっくり返ってるよ、お嬢さん。
 逃げられないように囲い込む。
「なんですかぁ、コレぇ?」
 ベンチコートのファスナーを上げて、閉じこめる。
「ん? 寒いから暖めてあげようかと思って」
「お茶! お茶いただきましたから! 充分です!」
「じゃあ、寒いから暖めて」
「じゃあってなんですかぁ?」
 涙目の抗議は無視する。
「はぁ。暖かいね」
 そんな俺達の姿をスタッフが目にして笑っている。
「敦賀くーん、らぶらぶねぇ」
「大事な妹ですから」
「敦賀君、カンガルーみたいよ」
「俺、お母さんですか?」
 クスクスと沸き上がる笑いに彼女だけがご立腹だ。
「寒くない?」
「不本意ですが、暖かいです」
「それは良かった。大事な妹に風邪を引かせる訳にはいかないからね」
「ありがとうございます、おにいちゃん」
 二時間ドラマはライトなミステリー物。彼女は俺の妹役だ。
 何人か見知った顔もあり、俺が彼女を可愛がっているという事は周知だった。
「それにしても、今日は本当に寒いね」
 冬の北陸。目の前の海は日本海だ。どこまでも演歌の世界で、定番とはいえなんで犯人はこんな所に逃げ込むのかと不思議に思う。
「今日は雪が降るから」
「ああ。天気予報でそう言っていたね」
 そう言うと彼女はそうじゃなくてと俺を見上げた。
「雪の匂いがします」
「雪の匂い?」
 雪の匂いって何だ? 疑問を感じ取ってか、
「ええっと、匂いって言うか気配って言うか……」
 う~ん、と考え込む。
「なんて言うか『降る』って感じがしませんか?」
「そうなの?」
 コクリ、と頷く。
「雪の匂い、か」
「ばかにしてます?」
「いや。そんな風に感じられるなんて素敵だね。最上さんは子供の頃、雪の匂いがしたらどう感じたの?」
「わくわくしました。京都は盆地ですから冷え込むんですけど、初雪の時は寒さも気にならないくらい。朝起きて窓が明るいと積もってるって分かるんです。雪兎や小さいですけど雪だるまを作ったり。それに──雪が降ったらサクランボの柄のついた赤い長靴が履けたんです。それを履いて足跡が付いていない所を歩くのが楽しくて」
「そっか。最上さんが楽しくて良かったな。寂しくはなかったんだね」
 不思議そうに俺を見る。
 その透明な瞳に吸い込まれそうになる。
「敦賀さんは……寂しかったんですか?」
「え?」
 まじまじと見下ろすと途端に慌てる。
「ご、ごめんなさい。私ったら変な事聞いて」
「いや。……そうだな、寂しかったのかもしれない。寒いし、どんよりとしているし」
 子供の頃の記憶に雪景色はない。西海岸で雪が降るなんて滅多にないから、雪の記憶はどちらかと言えば日本に来てからだ。
 低い雲が日光を遮って、雨から雪に変わる。濡れた路面とコートの襟を立てて歩く人。 記憶にある光景は楽しさとは無縁の景色。
 でも、それ以上に………。
「そうですね。寒いと寂しくなっちゃいますものね。東京は滅多に雪が降らないから余計に」
「そうだね」
 囲う腕に力を込める。
 大人しく俺の腕の中に収まる彼女の暖かさにホッとする。
「今度、雪が降ったら……」
「降ったら?」
「雪だるま、作ってくれる?」
「雪だるま、見たいんですか?」
「うん。寂しくならないように」
 僅かに目を見開いて……クスクスと笑い出した。
「良いですよ。でも、すっごくちっちゃいのしか作れませんよ。がっかりしないで下さいね。そうだ、雪兎も作ります。南天の実で目を付けるんですよ。それを見ながらお鍋でも食べましょうか?」
「鍋?」
「そうです。暖かい物食べると、寂しくなくなりますよ」
「じゃあ、寂しくなったら電話する。鍋、作ってね」
「はい? 雪が降ったら、じゃないんですか?」
「寒いと寂しくなるんでしょう。だったら雪が降った時だけじゃないよね」
「なんですか、その屁理屈」
「嫌なの? 折角、俺がちゃんと食事しようって気になってるのに……」
「う゛っ! いいですよ。お鍋、作ります。そのかわり締めの雑炊までキッチリと食していただきます!」
「うどんがいい」
 雑炊は……ちょっと……鍋ごとさらえている人を思い出すから嫌だ。
「分かりました。うどんですね」
 はぁ、と呆れたような溜息を一つ零して、彼女は了承する。
「今日の敦賀さん、コドモみたいですよ」
「そうかな? きっと寒いからだね」
「寒いから、でコドモ返りですか?」
「そ。あと、最上さんが暖かいから」
 私が暖かいのとコドモ返りに何の関係が、とブツブツ呟いている。
「雪を見ながら鍋食べようね」
「雪見ですか?」
「雪見?」
「はい。雪見です。した事ありませんか?」
「ない、な。それってどういうもの?」
「どうって……花見と同じですよ。雪を見ながらお酒飲んだり、暖かい物食べたり……。じゃあ雪が降ったら雪見もしましょう。月が出ているともっと素敵なんですよ。雲の切れ間から射す月明かりに反射してひらひらと落ちてくる雪って」
 ねぇ、気付いてる?
 今の言葉は月が天にかかるまで君は俺の傍にいてくれるって事だよ。
「楽しみにしてる」


 スタンバイお願いします。


 スタッフの声に名残惜しくなる。

 彼女を囲い込んでいた腕を放し、ファスナーを下げると途端に入ってくる冷気。

 その冷たさに彼女との距離を知らされ切なさが募る。

 名残惜しく抱き留めていた彼女の肩から手を放し、コートを脱ぐと「持ってますね」と手を差し出された。

「最上さん」
 呼ぶと邪気のない顔を向けられる。

 屈み込んで小指を差し出すと不思議そうに指先を見つめている。

「約束」
 驚いたように見開いた瞳はふわりとあどけない笑顔に変わる。

「本当に、今日の敦賀さんは子供みたいです」
 くすくすと笑い、柔らかな声音で「指切りげんまん」と歌う。
 その声に誘われるように脱いだコートで彼女をくるむ。
「風邪引かないように。俺のじゃ大きすぎるけど、暖かいだろうから我慢して」
 俺と彼女じゃ体格差がありすぎて、裾は床に届く程だ。
「汚れちゃいます」
 赤くなって抗議する彼女が愛しくて、くしゃりと頭を撫で行ってきますと呟けば微笑んで「行ってらっしゃいませ」と返事が来る。


 きっと───。

 雪降る夜が寂しかったのは君がいない世界にいたから。

 君は知らない。

 君にとってはたわいもない約束。
 それを俺がどれ程渇望しているかを。
 たった一つの約束にどれ程縋り付いてるかを。

 約束だよ。

 寂しくなったら君を呼ぶから。

 君だけを呼ぶから。

 君が寂しい時は傍にいさせて。


 空を見上げて深く息を吸い込む。
 彼女が告げた気配が体を充たしていく。


 雪の匂い。

 それは

 あまい あまい 君の薫り



スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2010/02/22 18:00] | 短編 | トラックバック(0) | コメント(0)
<<雛人形はお早めに? | ホーム | Please call my name>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://padparadscha21.blog129.fc2.com/tb.php/16-12257a75
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
一天四海



カテゴリ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。