スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告
雛人形はお早めに?
ひな祭りだ!
桃の節句だ!ってことで、ひな祭りネタで一つ。
ギリデスカ。でもまだ3日だよね。今、書きあがりました。

企画拍手には間に合いませんでした~。
読んでみたいな、って蕾様に言って頂いたのに~、申し訳なひ!!!

えと、誤字脱字出来の悪さには目をつぶってくれ!

以下、どうぞ!





 お揃いだよと手渡されたそれをキョーコはまじまじと見つめた。

 芸能界屈指の大手芸能事務所LME。
 愛とイベントが三度の飯より好きな社長の方針によってバレンタインを過ぎるとロビーにはひな飾りが、その他フロアには吊し雛が所狭しと飾られ、社食には「ひな祭り御膳」や「ひな祭りデザートプレート」が並べられ全社あげてのひな祭りが開催される。
 それはもはや始まりが厄払いだった事などこれっぽっちも、ミジンコの脳みそ程感じさせない様相を呈している。

 余談だが社長は毎年、人間雛飾りを目論んでいるが社内でLME最後の一般常識と言われる総務部長によってその目論見が実現する事は無かった。
 かの人が唯一手出しできない部門がラブミー部だが、三人では雛飾りにならないし遊ばれた所で被害者は三名。増えても四名。人身御供としてはそれだけで充分だし社内の被害も少ない、という鬼のような結論を彼女は下していた。

 その総務部長に海老に釣られる鯛と認識され、世間では芸能界一いい男だの抱かれたい男ナンバーワンだのの称号を与えられているLMEの稼ぎ頭敦賀蓮は、己が手渡したものを見つめる彼が愛して止まない少女の表情を伺っていた。
 キョーコは何やら酷く考え込んで蓮が渡したブツをじっと見つめている。
 そして深い溜息を吐いた。
「敦賀さん。先程、お揃いだと仰いましたが一体誰とお揃いなのかお訊きしてもよろしいでしょうか?」
 重々しく口を開くと言葉遣いだけは丁寧にキョーコは蓮に問うた。
「ん? マリアちゃん」
 短く「他に誰がいる」と言わんばかりの口調で蓮はその名を口にした。

 はぁぁぁぁぁぁ。

 最早目の前にいるのは神と崇める先輩俳優ではない、とばかりにマリアナ海溝の底から吐き出したかのような溜息をキョーコは吐く。

「つ~る~が~さぁぁぁん。何を考えてらっしゃいますか! 三月三日にひな人形を渡してどうするんですか! マリアちゃんの将来をどう思ってらっしゃるんですか!?」

 きょとんとこの先輩俳優には珍しい表情を蓮は浮かべた。

 キョーコはすちゃ、と掌を蓮に向けて発言を止める。

 「あなたの言いたい事は判ってます!」という意思表示だろう。

「敦賀さんは男性ですからご存じないのも無理ありませんが、普通、雛人形とは立春、二月三日ですね、から二月中旬までに飾りだし、三月三日に雛祭りを楽しんだ後は速やかに片付けるものなんです。そうじゃないとお嫁に行き遅れるというジンクスがあるんです!」
 はぁはぁと肩で息をするキョーコに蓮は申し訳なさそうな顔をした。
「……すみません。男の方が知らなくても無理ないのに、私ったら大きな声で」
「それは気にしないでいいよ。俺は最上さんに大変失礼な事をしたんだね」
「私なんかよりもマリアちゃんに謝ってあげて下さい」
「マリアちゃん?」
「そうです! 三月三日に雛人形を貰っただなんてマリアちゃんが可哀想です。敦賀さんの事大好きなんですから」
「ごめんね、最上さん」
「ですから、私の事はいいですから、マリアちゃんに謝って下さいね」
「うん」
 短く返事をする蓮に「本当に分かったのか」と疑いの残る目で見やる。
「それ、俺、持って帰った方がいいかな?」
 キョーコにペットボトルのお茶を渡して蓮は雛人形を指さす。
「え?」
 それ、と指されたのは蓮がくれた雛人形。
 陶器で作られたキューピーの内裏雛は柔らかい色彩で可愛らしくてキョーコは一目で気に入った。雛祭り当日に渡された為につい憤慨してしまったが人形自体が気に入らない訳ではない。
「最上さんがお嫁に行けなくなったら申し訳ないからね。そうならないように俺が持って帰った方がいいよね」
 缶コーヒーを傾けながら蓮は言う。
「あ……の、敦賀さん?」
「ごめんね、変なもの渡して」
 反射的にキョーコは雛人形を取る蓮の手を掴んだ。
「ああああああの、持ち帰るって、持ち帰ってどうするんですか?」
「捨てるのは可哀想だから家に飾っておこうかと」
「飾る?」
「小さいから置く場所くらいあるし」
「………持って帰らないで下さい」
 キョーコはぽそりと呟いた。
「マリアちゃんとお揃いだし、可愛いし、だるまやには雛人形がなくてちょっと物足りなかったんです。下さい。持って帰らないで下さい」
「いいの?」
 こくこくと頷く。
 じゃあどうぞ、と言われてキョーコは蓮の掌からテーブルの上へと人形を移動させた。
「最上さん、お嫁に行けなくなっちゃうよ?」
 嬉しそうに見つめるキョーコに向かって蓮は確認するように訊ねた。
「恋なんてしませんから、お嫁にも行きませんし。全然平気ですよ」
「恋はしないの?」
「しません」
「お嫁に行かないの?」
「私は仕事に生きるんです」
「仕事に生きてもお嫁さんにはなれるんじゃない?」
「恋なんてしませんから」
「恋愛しなくても結婚できるでしょ」
 この国には他にも出会いの制度があったよね。
「お見合いの事ですか? それは出会いだけの話で結婚するまでにはお互いに何らかの感情があるんじゃないんですか? 私はそんなのしないんですから、お見合い結婚も関係ありません」
 妙に食い下がる蓮にキョーコはにべも無い。
「最上さん、ウェディングドレスのヒラヒラとか好きそうだよね」
「そりゃあ……まあ、嫌いじゃないですけど………」
「和服とドレスだとドレスの方が好きだよね?」
「白無垢も美しいと思いますけど……敦賀さん、さっきからしつこいですよ?」
「最上さんのウェディングドレス姿が見たいだけだよ」
「このようなお仕事をさせて頂いてるので、いつかウェディングドレスを着せて頂く事があるかもしれませんね」
 お目汚しでしょうがその時はご覧下さい、と投げやりにキョーコは言う。
「そんな事無いよ。最上さんはヒラヒラも似合うと思うけれど、あの人魚みたいな裾のも似合うと思うよ」
「マーメイドラインですか? あれはスタイルの良い方で無いと似合いませんよ」
「最上さんはスタイルいいし、立ち姿は品があるから似合うよ」
 ニコリ、と裏の無い笑顔で断定されてキョーコは返事に窮する。
 ふよよ、と視線を泳がせてあるものに目を留めたキョーコは会話の流れを変えるべく、立ち上がってそれを手に取った。
「あの、敦賀さん。この後のお仕事は?」
 流れを断ち切るべく話を変えたキョーコに蓮は内心の残念さを微塵も出さずに応じた。
「ドラマの撮りだね」
「遅くなるんですか?」
「朝のシーンが入っているから上がりは二九時、だったかな」
 上がりが朝の五時。
 それを聞いてキョーコは小さなお重を蓮の前に押し出した。
「良かったら、どうぞ。マリアちゃんとひな祭りをしようと思って作ったんです。ご飯はちらし寿司にしました。つまむ位にしかなりませんけれど」
「いいの? 誰かに渡すものじゃなかったの?」
「事務所のひな壇に置こうかと思っただけです。お雛様には菱餅が既にのってますからお重は要らないと思いますし。あっちのお重は二人分にしては多いので、お皿に取り分けて飾ってもいいかと………。可愛いお雛様のお礼です」
 ついでの物で申し訳ありません、とごにょごにょと呟くキョーコに「ありがとう」と礼を言う。
 本日二度目の神々スマイルに「あ…う、え……どういたしまして」と言うのが精一杯だった。
 その様子に少し困ったように笑うと蓮は「そろそろ時間だから」と立ち上がる。
 それに合わせて立ち上がったキョーコにふと思いついたかのように、「最上さん」とキョーコを呼んだ。
「はい?」
 蓮を見上げるキョーコに囁きを落とす。



 大丈夫、俺が貰ってあげるから。


「え?」

「だから、ね───?」

 身を屈めてキョーコの瞳を覗き込むと一言。


「これ、ありがとう。行ってきます」
 蓮はキョーコが「イッテラッシャイマセ」とぎこちなく応えるのに満足そうに微笑んでラブミー部を出て行った。

 後には耳まで真っ赤に染め、床にへたり込んでいるキョーコが残された。

 ラブミー部にやってきたマリアは呆然と床に座り込むキョーコを発見する。

 蓮が落とした最後の爆弾にキョーコの思考はぐるぐると巻き込まれ、雛人形は早々に片付けられることとなる。


 それは───



 だから、ね? 俺以外の男の所にお嫁にいったら駄目だよ。






スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2010/03/03 23:57] | 短編 | トラックバック(0) | コメント(0)
<<小ネタ de GO! | ホーム | あまい雪>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://padparadscha21.blog129.fc2.com/tb.php/26-1f1c8585
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
一天四海



カテゴリ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。