スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告
それは魔女の悪戯
11号が発売される前にやりたかった下着ネタ。

魔女の悪戯に振り回される兄さんが書きたかったの。

コネタですが、よろしければどうぞ。

「セツは上を使って」
 トランクから出した着替えをチェストの下段に入れた蓮はカインのまま振り返って動きを止めた。
「セツ?」
 買い求めた洋服は窓際の椅子の上に置いたまま。
 ベッドの上に開いたトランクを凝視し微動だにしないキョーコを蓮は不審に思って名前を呼んだ。
「セツ、どうした?」
 近寄って三度呼んだ所で弾かれた様にキョーコが振り返った。

(え?)

 「キョーコ」が「蓮」を見たのだ。

 反射的に泳いだ視線はトランクの中と手元を行き来する。

「あ…な、ナニ? 兄さん」
 慌ててキョーコはセツカとして返事をする。
「セツカさん、荷物、どうかした?」
 ホテルに入った当初の呼び方で呼んだ途端、キョーコが真っ赤になった。
 女性の荷物を覗くのもどうかと思ったが、必要悪と割り切ってベッドに視線をやればミス・ジェリーが入れた着替えが広げられ、おそらく最初にこっそりと入れたであろうワインレッドに同色のレースをふんだんに使った物が広げられていた。
「もしかして……これ、知らないうちに入れられていた、とか?」
 訊けばコクコクと頷く。
「その、メモって………」
「え、あ……あ!」
 隠そうとするのを身長差を生かして上から抜き去る。
「敦賀さん! ダメ!!!」
 思わず叫んだキョーコに唇に指を当て、視線を送り黙らせる。

『蓮ちゃんへ

 背中から寄せて上げて盛るように下から締めるのよ

 分かるわね!』



 ナニが、とは言わなくても分かる。

 痛い程の沈黙が降りた。

 長い沈黙の末に見下ろした視線と見上げた視線が合った途端、憐れな子羊は叫びだした。

「あ、あの、その、寄せようと上げようとどうにもならないので敦賀さんのお手を煩わせる事はない、か……と………」

 叫んでから内容に気付いたのかキョーコは「ぼふん」と音がしそうなほど真っ赤に染まり、憐れなほどうろたえ、後退さるとふらっとへたり込む。

「危ない!」
 座り込んだ場所がサイドテーブルの付近だったので蓮は咄嗟にキョーコを抱え込んだ。

(しまった)

 神の悪戯再び。

「す、すみません……」

(落ち着け!)

「ぶつけたりしてない?」
 支えながら立ち上がり、とりあえず敦賀蓮として無難な問いをする。
「はい。すみませんでした」
「いや」
「あの……あれ、って………」
「……コルセット、だと、思う」
「………………あ、の……」
「最上さんが入れたなんて思ってないから心配しないで。入っているからって着なくてもいいんだよ。服だって買ったんだし」
「本当に?」
 腰に手を回して支えていたため腕の中にいたキョーコに見上げられた蓮は潤んだ瞳を思いっきり直視した。

 3.1415926535897932389793………

 俺ってバカだ。

 己の学習能力の薄っぺらさを再確認した男は頷くに留めたが、キョーコの「あ」という声に我に帰った。

 キョーコの視線を追うと蓮の握ったままのメモに行き着き──裏を見た。

『ちなみにソレはアウターOKの見せコルセットよ!
同じ色のリング・ガーターも入れといたわよ!
勿論、見せ用よ



(あのババァ! 俺で遊べないからって最上さんで遊びやがって!)

「セツ!」
「は、はい!(何、いきなりカインスイッチ入っちゃったの???)」
「着なくていい!」
(え? あ、でもこれ、ジェリー様が入れたんだけど、いいのかな。でもでも、着るとなると敦賀さん、じゃなくて兄さんに着せてもらわなきゃならないし。あ、待って、セツとしてはどうなの? それはそれで嬉しいの? キョーダイいないから分からないわよ!)

「セツ」

 ぐるぐると考え込んでいたキョーコの耳にひんやりとした声が入り込んだ。

(え?)

「セツ。着たいのか?」
 
 振り仰いだ視線の先には底光りするような瞳。

 頬には包み込むように添えられたカインの手。

「セツ、返事は?」

(いっやぁぁぁぁぁ。どうして? どうして、兄さんなのに夜の帝王なの? いやぁぁぁぁ)

 キョーコは思いっきり首を横に振った。

「そうか。じゃあこれは俺のトランクに入れておくからな」

 ふっと目元を緩ませるとカインはコルセットとガーター・リングを無造作に取り上げてトランクに放り込むと何事もなかったかのように振り返った。

「セツ、片付けは後にして食事にしようか。食べに行くか? それともルームサービスにするか? レストランだとハンバーグもあった筈だ」
「ハンバーグ……?」
「オムライスか、ピザのデリバリーにするか? それとも……」
「ハンバーグ! それって目玉焼き乗せてくれる? 目の前で焼いてくれる?」
「目玉焼きくらい頼めば乗せるさ。カウンター席があれば焼くのも見れる」
「行く!」
 ほらほら、とセツカはカインを急かすようにキーを取る。
「全くお前は」
「え~、なぁに~?」

 エレベーターへと向かうキョーコを見ながら、上手く意識を荷物から遠ざけられて良かったとほっとする。

 あの悪戯好きな魔女がアレだけで終わるとは到底思えなかった。

 あの格好で無防備に何度も見上げられたらこっちの意識が持たない。
 インターバルはどうしても必要だった。もう一度、円周率を数える羽目になるのは御免だ。

「ねぇ、兄さん。この格好で大丈夫カナ?」
 エレベーターで不安そうに聞いてくるセツカに
「駄目だったらドレスを買ってやる」

 そう言ってカインとして蓮は手を差し伸べた。




 数時間後、蓮の危惧は杞憂ではなかったことが発覚する。

 キョーコが女神(ミューズ)と崇める女は悪戯好きのタチの悪い魔女だった。


 
                                               La fin
スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2010/04/29 03:29] | ACT.157 関連妄想 | トラックバック(0) | コメント(0)
<<それは兄の御守り | ホーム | 小ネタ de GO!>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://padparadscha21.blog129.fc2.com/tb.php/66-c3a29c49
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
一天四海



カテゴリ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。