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それは兄の御守り
某様のネタバレを読んで、今の内に上げないとマズイ台詞があるわ、と慌てました。
「兄さん内心ニヘニヘでしょ」というコネタです。

BJ編の蓮は素だからやりたい放題だよな。←そうと決まったわけでは文字色ありません。あくまで個人の感想。

そうそう。
某長老様へ。
呟きを拾ってもらってありがとうございます。
お忙しいのにUPありがとうございます~。すっごく嬉しいです。でも急かせてごめんなさい~。

以下にコネタです。

 ガチャリ、と音がした方を見てキョーコは危うく叫び声を上げそうになった。

(んなっ! なんて! 何て格好!)

 慌てて視線を逸らす。

(お、落ち着くのよ。セツカよ。セツカ。私は雪花! アレは兄さん! 兄さんよ!)

「上がったの、兄さん……っていつも言ってるじゃない! どうして上、裸なのよ!」

 セツカの抗議もどこ吹く風。
 カインはフェイスタオルを首に掛けたまま冷蔵庫を開けると缶ビールを取り出し、タブを起こすと無造作に流し込む。
 嚥下すると、ランドリーバッグに洋服をこれまた無造作に突っ込んで、ベッドにどっかりと腰を下ろした。
 セツカは一連の動きを目で追って「もう!」と呟くとバスルームから未使用のバスタオルを抜き取って来る。
 ビールを煽る兄の手から缶を抜き取るとバスタオルを背中に掛ける。
「なんで髪もちゃんと拭いてこないのよ!」
 文句を言いながら首に掛かっていたフェイスタオルを抜き去ると遠慮なくガシガシとカインの髪を拭く。
「暑い」
 一言返事にセツカの口から溜め息が漏れる。
「あーのーねぇー」
「セツ、乱暴」
「兄さんがちゃんとしてないからでしょう。ほら、こっち来て!」
 セツカはカインの手を引いて、スツールに座らせるとバスルームからドライヤーを取ってくる。
 コンセントに差して乱暴に髪を乾かす。
 今度は文句も付けずにカインは大人しくされるがまま。

(相変わらず厭味な位、睫毛長いわね)
 
 ぼんやりとキョーコは髪を乾かしながら思った。

「セツ。お前、何をやってるんだ?」
 ドライヤーを止めて手櫛で整えているとカインが徐に訊いてきた。
「ん? あ、あれ。明日、どれを着ようかと思って。ねえ、兄さんはどれがいい?」
 カインの視線を辿ったセツカは答える。
「どれでも」
「えぇ~? もぅ! ナニその気の無い返事ぃ!」
 盛大に文句を付けるセツカの腰に腕を回してカインは彼女を見上げると、
「違う。どれを着てもセツは似合う。可愛い」と大真面目に言ってのけた。

(うっ! なんて兄バカ台詞なの! ダメよ、ここでうろたえちゃ! 兄コン・セツカにはこんな台詞、日常茶飯事な筈よ)

「もう! いつもそうやって誤魔化すんだから」
「本当の事だ」
 セツカは諦めたように溜息を一つ吐いた。
「お風呂入るからイヤークリップ外してよ」
 カインは立ち上がるとセツカの両耳のクリップを外しだした。最後に唇に繋がっているクリップを外す。
 カインが全部外し終えるとセツカはテーブルの上から灰皿を持って来、にっこりと差し出す。「兄さんは吸いすぎよ」と付け足すのも忘れない。
 カインは黙って灰皿の中にアクセサリーを落としこむ。
「セツ、バスキューブ」
 カインに言われてセツカは紙袋の中を漁って甘いハニーオレンジのバス・ボムを渡す。

 キョーコは湯を張る音を背に「敦賀さん、どこまでカインなの」と感心し、開けっ放しのトランクからミス・ジェリーに言われた巾着を一つ取り上げ、病院着のようなホテル備え付けのパジャマで包む。化粧品を入れたバニティバッグも出して、ライティングデスクとドレッサーを兼ねた机の上に置くとカインのままの蓮が出てくる。
 髪の毛をまとめてメイクを落としていると冷蔵庫の空く音がする。
 咎める視線も意に介さずベッドに座った蓮は最初に開けた缶を飲み干し、二つ目の缶を開ける。
 メイクを落としたセツカはカインの前に立つと「バスタオル」と手を差し出した。
「飲みすぎないでよ。それと風邪引くからパジャマ、ちゃんと着てよ」
 言い置いて、バスルームへと消えた。

(あれは何とかしないと!)

 鍵を掛け、蛇口を閉めると着替えを抱えたままキョーコは便座に座り込んだ。

(敦賀さんはモデルさんもしていらっしゃるから平気なんでしょうけど、は、裸で出てこられると目のやり場が~~~~~。この仕事っていつまでなの!? 肝心な事訊き忘れた~。私のバカ~)

 アレは兄さんよ、兄さん。私は妹の雪花。と、呪文のように唱えてオレンジの香りの中に身を沈めた。


 シャワーの音が聞こえ出してきて、蓮は「はーっ」と地を這うような溜息を吐いた。
 二つ目の缶ビールを飲み干し、開いたままのキョーコのトランクへと足を進めた。

(絶対、何かあの女(ヒト)は入れている)

 そう考えて後ろめたさを感じつつ巾着を手にした。

(やっぱり。あの人は………本当に遊んでいるな。社長よりタチが悪い)

 眩暈がした。

 あまり透けてないのが救いだが、多分、キョーコはどんな柄が入っているかまでは教えられていないだろう。そうでなければ「セツカとして」だとしても、ああも平静ではいられなかった筈だ。

(明日もなんとか時間を作って買い物に行くしかないな)

 巾着の口を閉じて元に戻すと蓮はベッドに戻って本日何度目か数えるのもバカバカしい溜息を吐いた。

 神の悪戯の災いと魔女の悪戯は中身が分かったけれど、これで最後とは思えない。
 ある意味、御守りと言うよりも「呪いのナントカ」ではないのだろうかと半ば本気で考えた。


 気を紛らわせるためにテレビをつけザッピングしていると、シャワーの音が止まった。
 そろそろ上がってくるだろう。
 そう思っていると「ガタン」というか「ゴトン」というか、そういう音が聞こえてきた。

(あー。中、見たな)

 思わず冷静に分析する。
 バラエティらしき番組に意識を向けていると程なく浴室のドアが開いて頭にフェイスタオルを巻いて、備え付けの浴衣らしきものを着、肩にバスタオルを掛けたキョーコが出てきた。
 枕をクッションにヘッドボードに上半身を預け横目で様子を伺うと、冷蔵庫からミネラル・ウォーターを取り出してグラスに注ぎそれを一気に飲み干した。
 そうして蓮を振り返ると眉を顰め新しいグラスにミネラル・ウォーターを注ぎ蓮に近寄る。セツカとして。

「兄さん。飲み過ぎないでって言ったでしょう。缶が増えてる」
 差し出したグラスをサイドテーブルに置くと蓮はキョーコの腕を引っ張った。
「ちょ……兄さん?」
 倒れこんでくるセツカをベッドに乗せて足の間に座らせるとフェイスタオルを解いた。
「兄さん!」
 叫ぶセツカに構わず、バスタオルで髪の毛を拭いていく。
「乾かさないと風邪を引くって言ったのは誰だ?」
「それは……だって、ドライヤー持って入るの忘れたんだもん。乾かすから放してよ」
「大人しくしてろ」
「ちゃんと水分吸い取ってよ」
 ポンポンとタオルで髪の毛を挟んで乾かしていく。
「なに観てるの?」
「さあ。適当に合わせただけだからな」
「これ、どこの国? 日本じゃないよね」
「ブルージュ。ベルギーだ」
「ふうん。何してるの、この人たち?」
「知らん」
「途中から観たの? あ、チョコ。おいしそう」
 あらかた水分を吸い取ったら蓮はキョーコの頭にタオルを被せて自分に凭れ掛けさせた。
 セツカのままのキョーコは暴れるでも嫌がるでも照れるでもなく、大人しく蓮の腕の中に納まっている。
「わ。マジパン。結構大きいね~」
 チャンネルを変えるでもなくそのままセツカは画面を観ている。

「うっわ~。食べてる。甘いよね」
 すると画面に映し出されるテロップ。


テロップ



「生き地獄? 何の? あ、もしかしてこの人、甘いの苦手なのかな?」
 なんだか今の自分の状態だと蓮は思った。コレもある意味「甘いもの」だ。
「セツ」
「なあに?」
「お前も甘い匂いがする」
 ぎゅっと抱きしめて耳元で囁けば「だって蜂蜜味の石鹸、使ったモン」と返事が来る。
「量り売りしてるの買ったじゃない。チョコ味とどっちにしようかと迷ったんだけど、バス・ボムがハニーオレンジだったから蜂蜜味かなあって」
「味って……」
「味って感じするじゃない。兄さんも使っていいよ」
「嫌だ。お前の後に風呂は使えないな」
「お揃いでいいじゃない」
 ぷぅっと膨らんだセツカの頬を突いて「気が向いたらな」と返事をすれば満足そうに笑う。

(生き地獄でもいいか)

 「修羅の道」を自ら突き進む男。

 手を伸ばして次々とスイッチを押し灯りをベッドサイドのライトだけにすると、キョーコのバスタオルを外し、隣のベッドへと放り投げて彼女を抱えたままベッドに沈み込んだ。

「ちょ、兄さん?」
「寝る」
「寝る、じゃなくて。アタシは自分のベッドに行くよ」
「お前のベッドの上には洋服が広げっぱなしだ。明日は早いんだから」
「それは兄さんがどれでもいいって言うから決めかねただけで……兄さん、聞いてる」
 いつの間にかセツカが持っていたテレビのリモコンを奪い取り電源をオフにする。
「セツ」
「な、なに?」
 見下ろして名前を呼ぶ。
「俺は今日は疲れた。お前の洋服を片付けてやるのも面倒なんだ。それに───」
「それに?」
「お前は俺の御守りだろう?」
 え? っと一瞬、キョーコの顔に戻ったセツカは記憶を探って「そういえば」と頷く。
「御守りは持ち歩くものだろう?」
 訳が分からないまま頷く。
「放したらゴリヤクってのがなくなるんだろう?」
「そう、とも言うけど……だから?」
「だから……一緒にいるべきだろう。おやすみ、セツ」
 言うなり長いリーチを活かしてランプの紐を引っ張り灯りを消した。

 混乱するキョーコを感じながら色々と吹っ切った男は腹を括る。

 生き地獄、上等!

 最強の御守りだと言って手渡したのは向こうなのだから。

「セツ」
「はィ?」
 眠れないか、と苦笑が浮かぶ。
「明日は指輪を買うからな」
「はい?」
「グローブはお前には似合わない」

 とことん思惑に乗ってやるのも一興だ、と蓮は決めた。

 御守りは有効活用してこそゴリヤクがあるってものだろう。



 こうしてヒール兄妹の長い一日は過ぎていった。

 混乱している約一名を残して。


                                                La fin






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2010/05/01 02:35] | ACT.157 関連妄想 | トラックバック(0) | コメント(1)
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[2010/12/11 23:10] | # [ 編集 ]
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