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それは俳優のワルノリ
本誌発売しましたね。
今回はスキビが休載なのでまだ買ってないです。
今日、新刊と一緒に買いにます。暁のヨナが好きなんです。ファンタジー好きなの。

えっと、コメで「虎視眈々と狙っている」と言われて、復活されてきたのかな~ってふらふらと出現。
お、大丈夫そうって油断していたら別れ際に齧られました。

ワンコの続き~って言われたけど、コレでもいいかな?

調子に乗った俳優です。


 着替えを済ませて深呼吸一つ。
 「よし」と気合を入れてキョーコはカーテンを開けた。

「兄さん。起きて!!」
 振り向きざまに声を掛ける。

 動きは無い。

 ベッドに近寄り呼びかける。
「兄さん! 兄さんってば。おーきーてー」
 背を向けている兄を揺すると緩慢な動きで寝返りを打った。
「兄さん、起きて。朝よ。仕事よ。起きなさいってば」
 セツカの声に煩そうにカインは眼を開けた。
「おはよ、兄さん」
 満面の笑みを浮かべた妹を一瞥すると兄は眠そうに瞼を閉じ、枕に顔を埋める。
「兄さん!」
 叱りつけるように呼べばカインはデュベから出した左手の人差し指で、とん、と自分の頬を叩く。

(なに?)

 困惑を浮かべるキョーコをうっそりと開けた片目で蓮も見詰める。

「セツ……」
 掠れた声で妹を呼ぶ。
「なあに?」
「キスは?」

 キョーコは固まった。液体窒素で固められたバナナのようだ。
 今なら釘も打てるだろう。

「いつものおはようのキスは?」

(い? いいいいいイツモ? イツモって何? おはようのキスって何?)

 固まって無反応のセツカを見上げてカインはため息を吐いた。

(ぅええええ? ダメ息? ここでダメ息? だって昨日までおはようのキスだなんて言わなかったじゃないの!)

 固まって動かないキョーコをそのままにして蓮は寝返りを打って布団を引き上げる。

(えええ? 二度寝? 不貞寝?)

 兄さん、読めなさすぎよ! と心の中で叫びまくるキョーコ。

 だって昨日までは「おはようのキス」なんて無かったし夕べだってそんな素振り全く見せなかった。
 それがどうして今朝、新たな行動が出てくるのか。

(キス? キスってキスよね? ちゅーってヤツよね? 落ち着け、落ち着くのよ、大好きな兄さんにおはようのちゅうよね。セツカは兄さんが大好きなんだから)

 頬を指差したんだからほっぺでいい筈、と半ば目を回しながら思考はそこまで辿り着いたが───。


『おいしかったよ。ありがとう』


(な、なんで今、あれを思い出すのよ────!!!)

 バカバカバカバカ、私のバカー!!!
 落ち着け落ち着くのよセツカ! 起きない兄さんを起こす方法は他にあるはず。

「兄さん、起きて! ねぇってば! お腹空いたよ。朝ごはん、食べに行こうよ」
 背を向けたカインの肩を揺する。
 根は蓮なのだ。空腹を訴えれば一人で食べに行けとは言わない。
 案の定、カインは不機嫌そうにセツカを見上げる。
 無言のまま見詰めてカインは面倒そうに上体を起こすと「ふーっ」と溜息を吐いた。
 腕を伸ばしてタバコを取り、火をつけてふかすとセツカを見る。
「何を食べたいんだ?」
「う~ん。和食はイマイチだったし。コンチネンタルはスクランブルが硬かったのよね。今日はビュッフェにしようか。プレーンオムレツ食べたい」
 小食の蓮に食べさせるには料理の種類があるビュッフェは申し分ない。
 手早く頭の中で何を食べさせるか組み立てていると、カインはタバコをもみ消し立ち上がってバスルームに消えた。

 なんとか起き上がってくれたのでほっとする。
 ほっとするのだが、先ほどの一言が思い出されてキョーコはベッドに座り込んだ。

(なんでいきなりいつもと違う行動にでたのかしら? 夕べは……何か違った行動とったっけ?)

 いつもと違うことは………。
 とある出来事を思い出して、キョーコは呆然とした。

(まさか───。一人で寝たことで機嫌悪いの? それって変でしょ。おかしいでしょ。ベッドが二つあるのに、一緒に寝るだなんて。いつも抱え込まれて寝ちゃうんだけど………)

 だからそれを阻止しようと、昨夜は先にお風呂を使って、カインが出てくる前に疲れた振りして寝たのだ。

(それが原因ってどんだけ手が掛かる子供なの? だって、敦賀さん、朝になったら巻きついてるんだもの。のしかかれられて苦しくて目が覚めたことあるのよ)
 添い寝なんて可愛い状態ではない。
 マングローブの根っこに捕らわれて動けない、という夢まで見たのだ。
 あの時は、死ぬんじゃないかと思った。

 キョーコはふらふらと机の前に歩み寄ると、スツールに力なく座った。

(でも、カインならそれぐらいやりそうよね。やっぱり敦賀さんと私じゃ役の掘り下げ方が全然違う。雪花としてちゃんとやっているつもりだったのに)

 がっくりと項垂れているとバスルームのドアが開いた。

 その音を聞いた途端、キョーコはビューラーとマスカラ、手鏡を持って窓際に置かれた椅子へと移動した。

 カインが着替える音を聞きながらビューラーで睫毛を上げる。

 蓮はモデルという事もあってか人前で着替えることに頓着しない。
 それを知らなかったキョーコは目の前で着替えだした蓮に驚き動転したのだが、セツカとして叫ぶことも出来ず、着替えの間中バスルームに閉じこもることしか出来なかった。

 毎日カインが着替えている間、バスルームに篭もる訳にもいかないキョーコが「セツカとして」カインを視界に入れずに済む方法として考えついたのが、マスカラを塗るという行為だった。

 カインに背を向けていても不自然ではなく、カインの視界からは消えない状態。

 発見した自分を褒めてあげたいキョーコだった。

 ビューラーで睫毛を上げ、ベースコートとマスカラを塗り、コームで梳かして出来を確認する。
 満足そうに一息つく頃にカインの大まかな着替えは終わる。

 あとは着替えたカインがセツカのアクセサリーをつければ支度は終わりだ。

 化粧品をバニティバッグにしまっていると、カインが近付いてきた。

 アクセサリーを差し出すと手に取り次々に付けていき、最後に口紅を取ってセツカに塗る。

「ありがと、兄さん」
 さあ食事に行くわよ、と微笑んで兄を見上げるとカインの両手がセツカの頬を挟んだ。
「兄さん?」
 きょとん、と見上げるセツカの顔をカインは見詰めると妹を呼ぶ。

「セツ」
「なぁに、兄さん?」
 不思議そうに兄を見上げる妹にそっと身を屈め───。


「今日もかわいいよ」


 セツカの左頬に柔らかな口付けを落とし、その頬が艶やかに色づくのを認めたカインは優しく微笑んだ。

「セツ。腹が減ったんだろう。行くぞ」
 セツカを離したカインはドアを引きながら振り向くが。

「セツ、どうかしたのか?」
 へたり込んでいるセツカに慌てて戻ってくるとカインは心配そうに尋ねた。

(どうしたも、こうしたも無いでしょう!!! いきなり何をするのよ)
 叫びたいが叫ぶわけにもいかないキョーコは心の中で罵倒した。

「セツ?」
「に、兄さん……今の…は……」
「いつものおはようのキスがどうかしたのか?」

(いつも? いつもって何よ。いつもしてないでしょう?)
 そうは思ったが口には出せないキョーコは首を振った。
「ううん。なんでもない」
 顔も上げずに呟くセツカにカインは心配そうに、「どこか具合が悪いのか?」と問いかける。
 重ねて問われれば返事をしない訳にもいかない。
「大丈夫よ、兄さん。靴を履くのを忘れていて、慌てたら躓いちゃった。怪我はしてないから心配しないで」
 きっと顔は紅い。でも、これで多少の誤魔化しにはなるでしょう、と恥ずかしそうに顔を伏せたままキョーコは答える。

「セツは少しそそっかしいから」
 そう言うとカインはセツカを抱き起こしスツールに座らせブーツを手にした。
 小花がプリントされたルームシューズを脱がせるとブーツを履かせる。
「兄さん、自分で履けるってば。すぐ子ども扱いするんだから」
 セツカの抗議もどこ吹く風。両足の靴紐まで結び、立ち上がらせる。
「オムレツ、食べるんだろう?」
「そうよ。兄さんもちゃんと食べるのよ」
「セツが選んだものは食べてるだろう」

 蓮はキョーコの意識を食事に向かわせると手を引いて部屋を後にした。


 こうして自身がしでかした行為をうやむやにした男は、翌日からの行動に「おはようのキス」を追加することに成功した。

 彼女にとっては災厄としか言えない事が待ち受けていることを、キョーコは感じ取ることすらできなかった。


                                              La fin




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2010/05/21 05:08] | ACT.157 関連妄想 | トラックバック(0) | コメント(0)
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